ロボット同士のインタラクションが人間の印象に与える影響

The Influence of Robot-Robot Interaction on Human Impressions

概要

ロボットが日常生活に普及する中、私たちがロボットに対して抱く「印象」をどうデザインするかは重要な課題です。本研究では、ロボットが単独で動く場合ではなく、「複数のロボット同士がやり取り(コミュニケーション)している様子」を人間が観察した際に、どのような印象を抱くのかという未開拓の領域を調査しました。人間の言葉ではない「非言語の音声(電子音など)」でのやり取りであっても、人間はロボット間に意図や関係性を感じ取ることが示されました。

研究の背景と目的

これまでのヒューマンロボットインタラクション(HRI)研究の多くは、単独のロボットに対する人間の認識に焦点が当てられていました。しかし、今後は複数のロボットが協調して動く環境が増えていきます。そこで本研究では、意味を持たない音声(ビープ音などの非言語音)によるロボット同士のやり取りを意図的に作り出し、会話の内容(意味)が分からなくても、やり取りのタイミングや反応だけで、人間がロボットに対して「意図的である」「関係性がある」と認識するかどうかを検証しました。

実験の方法

卓上型ロボットとカート型ロボット(移動ロボット)を用い、オンラインでの予備実験を実施しました。参加者に以下の2つのパターンの動画を提示し、ロボットに対する印象(生き物らしさ、心、目的意識、関係性など)をアンケートで評価してもらいました。

  • 対話条件: 卓上型ロボットが音声を発し、それに反応するようにカート型ロボットが音と光(LED)を発して移動し始める。
  • 非対話条件: 卓上型ロボットは静止したままで、カート型ロボットが単独で音と光を発して移動し始める。

実験の結果

アンケートの結果、非対話条件に比べて「対話条件」の方が、全体的に高い評価を得ました。特に、「ロボットが何らかの目的や意図を持って行動していると感じたか」「2つのロボットの間に関係性やストーリーを感じたか」という項目で顕著に高い評価が見られました。参加者は、ロボット同士が発する音の意味が理解できなくても、それが「コミュニケーションである」と解釈していたことが分かりました。

論文発表

2025年

  • Tomoya Minegishi, Hideyuki Takahashi, and Kentaro Ishii. 2026. The Influence of Robot-Robot Interaction on Human Impressions. In HAI 2025 - Proceedings of the 13th International Conference on Human-Agent Interaction, 497–499.

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