裸眼立体視ディスプレイ上のバーチャルエージェントに対する対人距離の検証

Exploring Interpersonal Distance with Virtual Agents on a Naked-Eye Stereoscopic Display

概要

画面上に表示されるバーチャルエージェント(オンスクリーンエージェント)の利用が広がる中、「エージェントの表示方法」が人間とのコミュニケーションにどう影響するかは十分に分かっていません。本研究では、専用のメガネ等を使わずに立体視が可能な「裸眼立体視ディスプレイ」を用いて、エージェントを3Dで表示した場合と2Dで表示した場合で、人間がエージェントに対してとる「対人距離」や「心理的な印象」にどのような違いが出るのかを調査しました。

研究の背景と目的

ディスプレイ上に人間らしい3Dモデルを表示して対話するシステムが実装されています。物理的なロボットと比べて安全でコストも抑えられますが、人間が画面内のエージェントに対して現実と同じような「適切な対人距離」を保てないという課題がありました。本研究は、立体視ディスプレイによってエージェントの「実在感」を高めることで、人間の空間的行動が現実社会の規範に近づくのではないかという仮説を検証しました。

実験の方法

廊下を模した実験環境にて、15名の参加者にエージェントの前を歩いて通り過ぎてもらう実験を行いました。「3D表示(立体視)」「2D表示(平面)」「表示オフ」の条件で、参加者がエージェントに最も近づいた距離と、主観的な評価(不快感や好感度)を測定しました。

実験の結果

  • 対人距離の変化: 参加者は2D条件よりも3D条件の時の方が、エージェントから遠く離れて歩く傾向がありました。立体視による実在感が、自然な対人距離を保たせる効果があることを示唆しています。
  • 心理的評価: エージェントに対する不快感や好感度については、3D条件と2D条件の間で有意な差は見られませんでした。

論文発表

2025年

  • Tomoya Minegishi. 2025. Exploring Interpersonal Distance with Virtual Agents on a Naked-Eye Stereoscopic Display. In Human Factors in Design, Engineering, and Computing, 959–968.

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